＜森の真珠＞　類まれな個性、美しいエチケット

貴方は「海のサンジョベーゼ」を飲んだ事がありますか。サンジョベーゼはクローンのできやすい品種と言われます。元々はキャンティークラシコやモンタルチーノのような、内陸の標高のある冷涼な場所に銘醸地があるのですが、低地の温暖な気候に強く、海風を受けながら健康に育つサンジョベーゼがあるのです。そしてこの「海のサンジョベーゼ」は「山のサンジョベーゼ」とは全く性格が異なります。
不思議な事に森の木の香りが・・・・・します。
トスカーナの海沿いのリヴォルノ県スヴェレートにあるトゥア・リータは、あのウルトラスーパータスカンの「レディガッフィ」(品種はメルロー)を生み出す畑で、奇跡の土壌と言われています。「レディガッフィ」は初リリースからわずか数年でワイン・スペクテーター誌、ワイン・アドヴォケイト誌、ジェームスサックリング誌、全てにおいて100点を獲得。これはワイン界では空前絶後の出来事でした。
その奇跡のテロワールで造られるサンジョベーゼ「ペルラート・デル・ボスコ」は直訳すると「森の真珠のような」ですが、「ペルラート」と言うのは磨けば真珠色に輝く大理石の名前で、その種の石がこの畑からザクザク採れると言う事です。めちゃめちゃ高級な石灰質土壌ですね。2020年は葡萄にとっては秀逸な年で、しかもこの年の収穫から専用の熟成樽に切り替え、さらに個性が際立っています。
そしてこの美しいエチケットに注目して下さい。画家のラファエッレ･デ･ローザ氏の描くバッカス(ディオニソス)神なのですが、ここに使われた色は全てリータの畑にある土や石の色だと言います。私はこのシリーズの中でも、サンジョベーゼのボトル、深い緑(トスカーナヴェルデ)にバッカス達が祝杯をあげているエチケットが一番好きですね。実に美しいと思います。・・・さて、スタッフで試飲です。
　深みのあるガーネットの陰影、濃いルビー、香りは紫の花、バラ、黒いベリー、ハーブ、スワリングすると甘く、香水のようと言う意見も。そして全員がマイナスイオンの水のニュアンスと、森の杉のような香りを感じました。味わいは果実味が豊富で複雑、タンニンは柔らかくエレガントで奥行きを感じ、スケール感もある。アフターが長く幸福感が残ると言う意見も。赤ワインですが魚介を含めて守備範囲が広い感じです。カジキマグロ、葱と味噌味、蓮根と紫蘇の醤油焼きまで。さすがは海のサンジョベーゼ。ﾄゥアリータの中でも非常にコスパの高い一本です。